柏崎市シルバー人材センター視察研修

平成29年9月7日、役員(理事・監事)による新潟県、柏崎市シルバー人材センター視察研修を実施いたしました。

全国的にも注目されている柏崎市センターの会員拡大や、就業先の確保等のセンター運営、特に130名以上の会員がボランティアで参加している、シルバーふれあいサロン「やまゆり」や、体験型農場「みんなの農場」について研修してきました。

 

 

 

 

 

 

柏崎市シルバー人材センターの小林理事長よりご挨拶をいただき、冒頭、地元テレビ局で放映された「やまゆり」の取り組みのDVDを視聴した後、青木局長から「やまゆり」の立ち上げから、現状にいたるまでの経過を説明していただきました。


シルバーふれあいサロン「やまゆり」

  • 平成18年4月オープン
  • 年商1千万
  • シルバー人材センターの会員なら誰でも商品を出すことが出来る直売所
  • センターの会員がボランティア(無償)で店番をしている(現在130名以上)
  • 平成24年 キラッと光るいいお店・新潟県知事賞受賞
  • 平成26年 内閣府より社会参加章受賞

まず、立ち上げには会員による委員会を発足し、全国のシルバー人材センターで運営している直売所などを2年かけて下調べしたそうです。

その結果「やまゆり」の運営には会員の方のボランティアによる参加が必要という結論になり、全会員に説明会を開催し賛同頂ける会員を募ったところ、160名の会員の方が手を挙げられたそうです。

正直事務局でもこんなに賛同を得られるとは思っていなかったとのことでした。

懸念された近隣の商店街との競合もいざ開店してみると、「やまゆり」の集客効果により地元の活性化につながり、大変喜ばれたとのことでした。

今では年間1千万円の売上があり、10時の開店にはお客様の行列ができる「やまゆり」ですが、それまでの道のりはけして平坦なものでなかったそうです。

開店当初は店を訪れるお客様も少なく、運営も赤字が続いたそうです。

さらには、オープンの翌年にあの新潟県中越沖地震に見舞われ商店街が大きな被害を受けてしまい、「やまゆり」も甚大な被害を被ったそうです。

事務局では「やめようか・・・」と考えていたそうですが、地元の商店街の皆様から

「やまゆりは、にぎわいの核になっており、いなくなられては困る」

「出て行かないでほしい」

と引き留めていただき、またボランティアの会員からも

「自分たちの店がなくなると困る」

「ぜひやりたいんだ」

との声に後押しされ続けることができたそうです。

店内の商品棚や陳列棚は全て譲り受けたものを使い、ボランティアの会員の方が手作りでレイアウトされたそうです。

大手のスーパーや量販店にはない、温かみのある居心地のいい空間が人気の一つになっていると実感しました。

お店の奥には100円でコーヒーが飲める(セルフ)サロンがあり毎日のように訪れる常連さんもいるそうです。

「いままでトラブル、苦情などはなかったのですか」

との質問に青木事務局長は

「近隣の商店街からの苦情は全くありません」

「むしろ、やまゆりの集客効果で地域の活性化につながり、感謝されています」

「会員の方からも説明会で賛同して下さった方が参加されていますのでまったくありません」

さらに

「中には他の仕事はしないでお店にだけ出ている会員さんもいます。」

どうしてかと尋ねると

「お店屋さんごっこのようで楽しい」

「いろいろな方と交流ができてうれしい」

「生きがいを感じている」

と答えられたそうです。

「やまゆり」の取り組みでいくつか見えてきたことがあるといいます。

まず、今まで高齢のため退会していく会員さんが辞めなくなった。

これについては、どのセンターでも問題になっている会員減少に歯止めをかけるものであり、就業だけでなく新しい生きがいの創出、高齢者の活躍の場の創出ができたこと。

地域商店街に溶け込み、復興や街づくりに貢献し、さらには地元商店街の活性化を通じシルバー人材センターの知名度をアップできたこと。

その他にも、会員が主体であることの重要性や情報発信、販路の拡大(イベントへ積極的に参加する)などをあげられていました。

また、就業の拡大のため、商工会議所を活用する(外部団体とのコラボレーション)、行政担当者との情報の共有化や企業等への提案型の営業などをおこなっているとのことです。

 

 

 

 

 

ご説明いただいた後、実際に「やまゆり」を視察することが出来ました。

午後にお邪魔したこともあって、朝どり野菜はほとんど売り切れていましたが、会員さんの手作りの様々な商品をボランティアで店番をしている会員さんが丁寧に説明してくださいました。

(たくさん買い物をさせていただきました。)

 

 

 

 

 

ちなみにこの「やまゆり」という名前は、会員さんからの公募で、「柏崎市の花」で花ことばが「人生のたのしみ」ということで決まったそうです。

 

 

 

 

 

現在は、委員会の方が中心となって、ボランティアの会員さんのシフト作成や、出品するための説明などをしているそうです。

まさに、シルバー人材センターの理念「自主・自立・共働・共助」そのものだと感じました。


体験型農場「みんなの農場」

  • 作付面積5反(約50アール)
  • だれでも無料で参加できる
  • 農業大学出身の会員が講師となって指導している

今回は時間の都合上視察することができませんでしたが、「みんなの農場」は遊休地、耕作放棄地を安価で借上げ、会員さんの野菜作りの技能向上目的として運営しているとのことです。

平成26年には農地法で定められた、借地による利用権の設定を行い、出荷の出来る農場としても位置付けられたそうです。

主に有機野菜作りを行っており、会員さんだけでなく一般の方も無料で借りる事ができ、農業大学出身の会員さんが講師となって指導しているそうです。

とれた野菜は、持ち帰ることが基本ですが無人販売所「有機舎」などで販売することも可能だそうです。

「みんなの農場」でスキルアップした会員さんが、自分の畑で作った野菜を「やまゆり」に出品している方もいるそうです。

これからも、「地産地消、遊休地・耕作放棄地の有効活用、農業後継者の育成、食育推進、地元の子供たちとの異世代間交流」などを積極的に行って、様々な分野に貢献できる大きな可能性を秘めているとのことでした。

 

公益社団法人柏崎市シルバー人材センターの小林理事長を始め、青木事務局長、職員の皆様、「やまゆり」のボランティア会員の皆様、大変お世話になりました。

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